【カード評価】コボルトと秘宝の迷宮(ローグ)
2017年12月のハースストーン新拡張「コボルトと秘宝の迷宮」の事前カードレビューです。
ミラクルローグでの基準を基本としています。
以前は全カード評価をしていましたが、余りに手間がかかり面倒くさく、その上興味の無いカードまで画像を貼ったりコネコネしていると悲しくなることがわかったので、興味があるローグのカードだけをメインにします。
他のカードが見たい人は他所様のサイトを参考にして下さい。
※あくまで「事前」カード評価なので、めっちゃ信じてダスト突っ込んじゃうとかしないようにして下さい。実装後にyagutおじさんのローグ配信を見れば大体正解が分かります。
ソニア・シャドウダンサー
ハースストーンには珍しく日本人感覚としてイラストアドの高い新レジェンド。
なかなかのフトモモをしており、ストリートファイターシリーズの春麗を彷彿とさせる。
このミニオンのバリューを活かすためには、当然ハンドにコピーを作る動きをしないといけない。
すなわち、「このミニオンが場に出た時に場に残っている可能性がかなり高い」もしくは「このミニオンと同時に出せ、そのターンにすぐに死ねる」というミニオンと併用する必要がある。
かつ「1/1になったとしてもバリューがほとんど落ちない」必要もある。
他のミニオンではソニアのバリューは引き出せない。ソニア自身は比較的軽いが、条件は相当高い。
最も目につく活用ミニオンは、1/1/1突撃の「イノシシ」「パッチーズ」であり、こいつらは出して突撃して死んでハンドに帰ってくる。
5マナあれば、ソニアを出せばイノシシを1回出して突撃して死んで、さらにもう1回出せる。
そういうムーブが強いかと言われれば、これは弱い。
5マナで1点ダメージを撒き、盤面に2/2と1/1突撃が残る状態は、ショボい。
このショボい盤面のために、イノシシをデッキに入れることは無い。
なのでこのレジェンドを活用するためには、専用の構築が必要となる。
ハンドから同ミニオン出すこと自体にバリューが出るクエストローグ、2/1/1隠蔽を持つ翡翠ローグ、断末魔招集を利用した断末魔ローグ等には採用される可能性はある。
取り合えずミラクルには不要
1点@4点満点
ファルドライ・ストライダー
ミラクルローグは構造上スペルを多く搭載する必要があるため、根本的にいくつかの問題を抱えている。
その中の一つ、典型的な欠点が「デッキにミニオンが少ない」ということだ。
ミラクルは高速ドローによりハンドを揃えて叩き出すバーストダメージを内包するデッキだが、ミニオンである程度相手のフェイスを削ることでリーサルの必要カードが少なくなり、リーサルターンが早くなり、また相手がミニオン除去に回ることで結果的にこちらも延命出来るので、やはりミニオンは必要である。
でもミニオンを多く入れるとスペルが減ってしまい、競売人でのドローに制限がかかるというジレンマがある。
さらに今年のスタンダード落ちに際して、長くローグの4マナを支えた「墓荒らし」が落ちて以降、4マナ帯が薄い(シェラジンぐらい)ということが、この欠点に拍車をかけていた。
墓荒らしは強かった。
4/5/4で4マナ帯の十分なスタッツを持ちながら、断末魔で競売人を回すために使えるコインをくれた。
今思えばクレイジーなミニオンだった。
4マナ帯では今は「シェラジン」が入っているが、レジェンドであるためデッキに1枚しか入らないのでどうしてもゲームごとのムラが大きい。ヘルスもやっぱ4欲しい。
世のミラクル好きはスタン落ち以降、墓荒らしのことを想って日々を過ごし、4マナでヒロパエンドをするたびに「ああ墓荒らしがいれば」と嘆息を漏らし、新拡張が出る度に墓荒らしが帰ってくるのではないかと微かな期待をし、なんか変なミニオンが追加される度に「全部要らないから墓荒らし返してくれよ」とブリザードに要望メールを送っていたのである。
このストライダーは、その長く続いた4マナ不況の時代に終止符を打ち得るミニオンである。
4/4/4のスタッツで、かつデッキに不足しがちなミニオンを増やすというクリティカルな性能。
素晴らしいの一言だ。
埋められた「待ち伏せ!」は、0/4/4+1ドローという驚異的なバリューを持つ。
バリューを引き出す条件も「待ち伏せ!を引く」という軽い条件となっている。
アグロローグはいざ知らず、高速ドローを可能とするミラクルローグには全く問題無い。
デッキを枯らすほどドローをすれば埋められた3枚とも出せる。
ストライダーは次代のミラクルの4マナ帯を担う期待の新星である。
こいつがスタン落ちする際には、僕が日々こいつのことを想って過ごすようになっていることを願わんばかりだ。
4マナ帯のニューヒーロー
4点@4点満点
雲隠れ
メイジに「アイスブロック」という秘策がある。
これは「絶対にリーサルターンが1ターン延びる」という強力な秘策であり、メイジが無理やりフェイスにスペルを飛ばし2ターンかけて相手を削りきるという、1つの勝ち筋をメイジに与えている。
この「雲隠れ」は「リーサルターンが1ターン伸びる可能性がある」という点で、アイスブロックに似た性質を持つ。
異なる点は「絶対にリーサルターンが1ターン伸びる」とは限らない点だ。
このスペルがバリューを持つ状況は、「そのターンに相手がこちらの顔に複数回のダメージを与える機会がある」という状態である。
例えば相手が「動き回るマナ」で2/2を5体出した時に雲隠れが貼ってあった場合、相手は1回しか2/2で殴れず、4体の2/2はパスをすることになる。
この「パスをさせる」ということは、そのままヒールと同義となる。
非情に高いバリューを叩き出せる。
しかし相手がパスをしなければ余り意味が無い。
相手盤面に2/2が3体出てる場面で、こちらが4/4競売人と雲隠れを使用した場合、相手は2/2の2体で4/4とトレードを行い、2/2がこちらの顔を殴ってきて雲隠れが剥がれる。
この場合はバリューもクソも無い。
「ミニオンに当てさせる」という点で意味があるとも言えるが、基本的にこのスペルはパスをさせることでバリューが出る。
このスペルがアイスブロックと決定的に異なる点は、適切に使用するタイミングを見極める必要がある点である。
2ターン目に貼って、相手3ターン目に船長+パッチーズに剥がされても悲しい。
決定的な場面で使用することで決定的なバリューを出す必要を秘めるが、ショボいところでショボい仕事をさせるともったいないスペルでもある。
簡単に言えば、相手が優勢かつこちらの盤面が空の状態で打つことで、バリューを引き出しやすい。
このスペルがミラクルに入るかというと、これは判断が難しい。
ただでさえ劣勢の状態で雲隠れを打っているので、後の相手盤面は圧倒的な状態になっていることが予想されるので、ここから勝つ手段が必要である。
しかし、ミラクルには勝つ手段が搭載されている。
リロイ型やマリゴス型では返しにバーストを狙える可能性があり、巨人型では退散から低コスト巨人展開という逆転の一手がある。
また続くDKでさらに延命+待ちが可能であり、この点を踏まえると、採用は十分に検討されるべきだと思われる。
3点@4点満点
エルフの吟遊詩人
ハースストーンでは、1ドローはおおよそ1.5マナに相当する。
メイジのドロースペル3マナ2ドローが基本であり、ドルイドの5マナ3ドローやローグの7マナ4ドローなど、枚数が増えると効率が若干落ちる。
ミニオンも大体そういう設計になっている。
究極は割愛します。(白目
ミラクルローグに多い負け筋は2つある。
苦手なアグロデッキに対して「抑えきれずに顔面をボコボコにされる」ことと、得意なはずのコントロールデッキに対して「競売人が引けずにハンドがコインと段取りと冷血で埋まる」である。
このうち、特に後ろの負け方は悲しい。
「競売人がくればめちゃくちゃチャリチャリ出来るのに!!光れ右手!!頼むドロー!!」からの段取りを引いて、ハンド全部適当に打って見せつけて爆発する時の悲しさは、かなり来るものがある。
それらを踏まえてこのミニオンである。
起動のコンボを取り合えず置いておくとすると、4/3/2+2ドローである。
2ドローが3マナ分と考えると、実質本体の価値は1マナであり、スタッツとしては優秀な部類に入る。(コンボ必須なので実際は優秀というほどでもない)
さらにドローがミニオン限定となっている。
ミラクルに採用されるミニオンは、競売人を筆頭としてリーサル、除去に必要最小限なものに限られており、それらを確定でハンドに引けるという行為はかなり協力である。
競売人のドロー機会が増えることで、悲しい事件が起きなくなる可能性が増す。
マリゴス、リロイという各デッキのキーとなるミニオンをドロー出来る可能性も高い。
デッキ圧縮にもなる。
良いことずくめのようだが、ではいざこれをデッキに入れるかと言われると、判断が相当難しい。
恐らく今回の拡張で一番難しいミニオンである。
単純に4ターン目に出す3/2が弱い。相当弱い。
参考は同じ4/3/2を持つザリルで、これは雄叫びと断末魔で1マナスペルをくれるミニオンだが、ザリルのスペルが割と即効性が高い(単純にスペルとして、またコンボの起動として)のに比べ、こいつの2ドローは重要性が高いとは言え重く即効性はほぼ無い。
5ターン目に暗殺花で盤面をある程度切り返すことが可能だが、こいつのコンボを使用して5ターン目に花でまたコンボを起動出来るハンドがあるのかと言われると結構難しい感じがある。
そして中終盤にこのミニオン必要かと言われると、これもまた微妙なところである。
ミラクルが無事6マナ以降に辿り着いているということは、相当な確率で競売人を回している状況であり、コンボは容易なものの今度はミニオン2ドローはそこまで必要を感じない。むしろハンドが溢れることが結構ある。
とどのつまり、「競売人が引けない」という対コントロールの負け筋を減らすことが出来るものの、対アグロにはさらにボコボコにされる可能性を秘めたミニオンであると言える。
ミラクルには基本的に入れないが、コントロール環境なら検討する余地は残るミニオンである。
2点@4点満点
オニキスの小呪文石
これがハンドにある間に断末魔ミニオンを使用すると、ランダム対象の相手が1体増える。最大3体まで増える。
ローグの重いスペルは大体地雷である。
軽くするために段取りがあるが、段取りはチャリチャリするためのものである。
また断末魔をデッキに入れるほどミラクルに隙間は無いし、ミラクルはまったりミニオンの断末魔を眺めるデッキでもない。
一つ加えるならば、断末魔ミニオンは倒されるとメリットがあるので相手が倒してこないことが多く、そのため相手は顔に来るので、相手盤面にミニオンが溜まることが多い。
そういう点で、複数除去を狙えるこのスペルは、断末魔ローグを組むならそう悪くはないように見える。
ただ当然ミラクルには要らないし、断末魔ローグ以外のローグには全く不要。
1点@4点満点
コボルトの幻術士
断末魔という能力は、とても受動的なものである。
それは、発動の状況やタイミングを相手が判断し決定することが出来るためだ。
例えば全体に2点ダメージを与える断末魔を持つミニオンならばヘルス3以上のミニオンが残るようにして除去すれば良いし、面倒くさい効果ならば取り合えず放置しておくことも出来る。(その場合相手に発動タイミングを決定する権利が行くが)
そしてこいつである。
そもそもミラクルローグに「1/1コピーが出て嬉しいミニオン」が有るかという点について、これは相当有る。
競売人が出れば相当強いし、冒険者が入っているなら嬉しいし、サルノスなんて元々1/1だ。
マリゴスが出れば一気にゲームが決まる可能性もある。
さらに、ローグはミニオンが少ないので、手札から1/1コピーされるミニオンをある程度限定することが出来る。
ハンドにマリゴスしかいないならば、断末魔で出るのはマリゴスだけだ。
ただしこれらの「出て嬉しいミニオン」は、サルノス以外は「自分のターンに」という枕詞が付く。
相手のターンに1/1競売人が出ても、殺されるだけなので別に嬉しくもなんともない。
こいつを出して、相手ターンに殴られずに戻って来て、かつ断末魔で有用なミニオンのコピーが出た場合に凄まじいバリューを叩き出すが、条件は厳しい。
マリゴスを出す前提で自殺するという手もある。
10ターン目でサルノスとこれをだして死角で自殺してマリゴスが出れば、6マナでマリゴスが出た上にスペルダメージはサルノスと足して+6。
腹裂き2発で20点、段取り併用でさらにバーストが出る夢のコンボも一応ある。
2点@4点満点
九死一生
パラディンの「高飛びコドー」と似た性質を持つ秘策。
こちらは2マナかかるが、戻るミニオンは2コスト下がる。
ミラクルはミニオンが少ないが、逆に必要最低限のミニオンを使いまわせることは非常に強力で、かつコストが2下がることでさらに用途が広くなる。
競売人から段取りとこれでドローを回しつつ除去されても4マナ競売人で再展開するなど、強力な動きが可能。
暗殺花でもシェラジンでもストライダーでもエドウィンでも強い。
コストもこれ自身が2とほどほどの使いやすさ。
そもそも2マナ軽減のおかげで実質のマナコストがかからないスペルが弱いわけがない。
メイジスペルの秘文と同じインチキ感がある。
ただし、こちらのミニオンが除去に回らざるを得ない状況だと、挑発が入っていないミラクルでは威力が激減する。
それを差っ引いてもやっぱ強い。
4点@4点満点
突然の裏切り
ハンターのミスディレクションと同じような効果。
一応「雲隠れ」と天秤になる秘策。
1枚でミニオン2枚を持っていく可能性を秘めるが、ほぼ効果が無い場合もある。
少なくとも発動したミニオンの攻撃は他所に行くので、そのアタック分はヒールしたことになる。
あわよくば除去まで視野に入る。
ぱっと見の印象ではあまり強くなさそうだが、冷静に考えると弱くはない。
対ローグでは雲隠れをケアしてアタックの高いミニオンから殴ってくると思われ、その場合に突き刺さる効果をしている。
書く前はボコボコに貶めようと想ったけど、冷静に考えると悪くないような・・・。
元々単体のでかい奴に対して昏倒や暗殺花を持つローグは強いので、複数体を相手にしている状況で輝くこの秘策はむしろ強い気がしてきた。
3点@4点満点
事前評価なので、環境が開始したら嬉々としてソニアを使っている可能性は否定できない。